蒼唯的痛冷な瞬間【本サイト限定作品】
ポツッと

あれは、今思い返してみても謎な出来事である。

中学生活も最後。
3年の秋。

理科室で実験の授業を終えた後、道具を片付けるため隣の準備室に入った。

決められた棚にビーカーなどを収め、準備室を出ようとすると、頭に水滴のようなものが落ちた。

なんだっ!?

すぐさま真上を見たが、天井には水の滴る様子などなかった。

4階建ての校舎。準備室は1階にある。

晴れの日だったので、雨漏りでもない。

床に物が落ちた様子もない。

頭をさわってみたが、水滴もついておらず、私は青ざめるしかなかった。

なんなんだ、これは……。

呆然としていると、準備室角に直立した人体模型が視界に入り、恐怖感が割増した気がする。

急ぎ足で理科室に戻った。


あれは、何だったのか。

ホラーな現象には、たいがい理屈があり、科学的にも証明されるそうだ。

だとしたら、この体験も科学的証明を示してもらいたい。でないと、私は夜、眠れなくなりそうだ。

時々思い出しては考えてみるのだが、さっぱり分からない。

同じような経験をしている人がみえたら、ぜひご連絡いただきたい。

< 3 / 6 >

この作品をシェア

pagetop