蒼唯的痛冷な瞬間【本サイト限定作品】
ポツッと
あれは、今思い返してみても謎な出来事である。
中学生活も最後。
3年の秋。
理科室で実験の授業を終えた後、道具を片付けるため隣の準備室に入った。
決められた棚にビーカーなどを収め、準備室を出ようとすると、頭に水滴のようなものが落ちた。
なんだっ!?
すぐさま真上を見たが、天井には水の滴る様子などなかった。
4階建ての校舎。準備室は1階にある。
晴れの日だったので、雨漏りでもない。
床に物が落ちた様子もない。
頭をさわってみたが、水滴もついておらず、私は青ざめるしかなかった。
なんなんだ、これは……。
呆然としていると、準備室角に直立した人体模型が視界に入り、恐怖感が割増した気がする。
急ぎ足で理科室に戻った。
あれは、何だったのか。
ホラーな現象には、たいがい理屈があり、科学的にも証明されるそうだ。
だとしたら、この体験も科学的証明を示してもらいたい。でないと、私は夜、眠れなくなりそうだ。
時々思い出しては考えてみるのだが、さっぱり分からない。
同じような経験をしている人がみえたら、ぜひご連絡いただきたい。