高校生恋愛*~初めての気持ち~
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〝正樹と別れて。〟


彼はそう言って私の頬にキスをした。

そしてこう言ったの。

〝俺の事を好きにさせる〟


って……


好きになんてなるわけないじゃん。あんな一言全然気にしてない。



っていうか何?いきなりキスとかされたら……ワケわかんなくなる。


「はあ……」


さっきまでグランドにいた野球部もソフトボール部も…吹奏楽部の演奏も消えていた。


ああ。もうこんな時間

その時ー…



「お待たせ」

誰もいない廊下を全速力でかける男子高生。


「……正樹」

あの走り方は正樹だな。腕を大きく振って走るのは正樹だもん。

「どうした?なんか暗くねえ?」

正樹はそういって私のおでこに手をおいた

「ううん。大丈夫だよ。ありがと」

私はその手から離れるように下を向いて笑った。

「んじゃ行こうか」

ふうっとため息をついた正樹は、まだ少し心配そうな目で私を見ながら、いった。

「うん」

まだ私は下を見たまま、さっきのキスが頭から離れないでいた。

「あれ!?……晴笑何で頬隠してんの?」

正樹はさっきから私が翼にキスされた頬に手を置いていたのに気づき、問いかける。

「…ふぇっ!!そ…それは」

あまりにも、正樹が鋭すぎて、私は、あいまいな返事しか返せない。まさか、キスされたところみられてた?

「…………なーんてな。」


ぶはっと正樹は吹き出した。その笑顔は、なんの不安も抱えてないというすがすがしい笑顔だった。


「ごめんからかった♪」


正樹のそのさわやかな笑顔……たぶんキスされたって事は気づいてないだろう。……にしても正樹からかう場所、よりにもよってなんでキスされたところなのーー?!

「もう」

私は目をちょっと細めて、笑った。
私が元気ないのを気遣って、からかってくれたんだろう。

ほっ……

よかったばれなかった。キスされたなんていったら大変な事になる。なんか駄目だ。自分


キス。たった一回のキス。ただそれだけ。それだけ。なのに……


何がそんなに気になるの?橋場翼……いきなりキスした最低男……なのになんか………考えてしまう。理由はさっぱりわからない


考えるだけ…無駄か。


私は正樹の自転車のうしろにお決まりのように乗って夕焼けが綺麗な校舎の裏を風を切って走った。



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