高校生恋愛*~初めての気持ち~
それはとってもあったかくて、優しかった。


ああ。それは、翼の手だ。


翼は、私が正樹と春香ちゃんをみて泣いてるのを知って私の目を翼の手が被さって正樹の姿を遮断した。

いわゆる“目隠し”を翼はしてきたのだ。


「ばーか。無理すんなっつってんだろーが。俺様の命令。」


「っちょ!命令なんて聞いてないし!」


「泣くほどすきなのか?正樹の事?」


うう。確かに。なんで私はこんなに泣いてるのかわからなかった。たぶん、私の時には見せなかった正樹の笑顔を他の人に見せるってことがすごく嫌なのかも。



なんで、私にはあの笑顔見せてくれなかったの?


私といてつまらなかった?おもしろくなかった?ドキドキしなかった?



それとも……


「好きじゃなかったのかなって・・・思っちゃって。」


また、涙が出てきた。こうして言葉にすると、余計辛いなぁ。思っていた以上に、私って後を引きずるタイプかも。



「ここで、泣けよ。俺が全部受け止める。」


翼はそういって、私をぎゅっと抱きしめた。正樹たちに見せ付けてやろうぜっていうよな、俺様な態度で。


「全部…うけとめられないくらいだよ?私の涙。」


「いい。おもいっきり、泣けよ。」



翼・・・翼・・・翼・・・・




なんで今まで気づかなかったんだろう。


なんで、今までこの気持ちを隠し続けて、ごまかし続けてきたんだろう。



ああ。そうか。



「帰ろうか。」



翼は私に手を差し伸べた。



私はこくんとうなずく。



そうか。そうなんだ。



私は翼が好きなんだ。




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