高校生恋愛*~初めての気持ち~
まだ学校には数人しかいなくて、先生も次々と車を駐車場にとめてやってきた。私は思ったより早く学校についてしまったらしく、がらんと開いた教室に一人ぽつんと、自分の席に座っていた。外からはぎゃーぎゃーと、明るい声が聞こえてくる。今日もみんな元気に登校する。あたりまえの事だけれど、なんか、すごいことのように思えた。



「あれ?」


いつも、翼は少しチャラチャラしてるグループの奴らと一緒に学校に来る。しかも、きまって同じ時間に。でも、今日は違った。あのグループの中に、翼だけいないのだ。


いくらみても、翼の姿はなかった。周りをみても、翼はいない。どんどん教室に、生徒が入ってきて、決まった場所に座る。私は、カバンを自分の机に置いたままずっと窓の外をみていた。


まさか、寝坊?


そっか。最初のほうはずっと遅刻してたもんな。翼ってば、今日告白しようと思ってるんだから、休まないでよ!なんて、翼に言おうとしても、翼の姿は、まだ見えない。


だんだん、学校に来る生徒の人数も減り、毎朝昇降口前にたっている生活委員も、学校に入っていった。


さすがに……翼、遅すぎじゃない?



風邪?それとも、インフルエンザ?



なんで、休んだんだろう。



そのとき、がらっと、勢いよくドアが開いた。先生がどすんどすんと、教室に入ってきた。



「えーっと。今日は橋場翼は休みだ。」


先生はそういうと、ごほんと咳払いをした。翼を狙っている、数人の女子が先生に向かって手を上げた。



「せんせー。なんで翼は休みなんですかぁー?」


ナイス女子よ。そう心の中でガッツポーズをしながら、私は先生の方をみて、目を光らせる。先生は呆れ顔で話し始めた。



「今朝、舞さんが自宅でたおれました。橋場君と舞さんは同じマンションで部屋が隣同士なので、倒れたとき橋場君に助けを求めたそうです。それで、橋場君は舞さんと一緒にいるでしょう。」



ガタン・・・



私はただ、呆然とその場に立ちすくすしかなかった。何がおきたのか全然わからなかった。先生は、何を言ってるの?意味分からない。先生ならもっと、分かりやすく教えてよ。


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