高校生恋愛＊～初めての気持ち～

私は学校を飛び出した。「待ちなさい」と叫ぶ先生の声が耳から離れなかった。高校生になって、授業をさぼることなんて、初めてだ。小さい頃から、授業はきちんと受けなさいと、体にしみこむくらい言われてきた。


でも、私は、それを裏切ってまで行きたい場所があったのだ。今行かないとなんか駄目な気がした。今行かないときっと一生後悔しそうな気がしたのだ。私は、ただただ無我夢中に廊下を通り過ぎた。


息が切れる。朝早く起きてセットしてきた髪の毛も、もうボサボサだ。顔もすごいことになっていて、こんな顔じゃ、翼に会えないと思うほど。



「待ちなさい。」


私が昇降口を出ようとすると誰かに腕をつかまれた。



「校長先生・・・」


私の手を掴んだのは、校長先生だった。


「どこへいくのだい？」


先生は、真剣な顔をしながら私に問いかけた。私はごくんと唾を飲んだ。


「今、どうしても会いたい人がいるんです。」


手は震えていたが、しっかり、自分の言葉でいえた事に自分でもびっくりした。中学生のときはこんなに自分の意見を突き通せる自信なんてなかったのに、今はある。



「今は授業中だ。後からでもまにあうだろう？」


先生は、ははっと笑ったが決して目は笑っていなかった。私の腕を握り締めている校長先生の手に力が入る。


「あ、後からじゃ駄目なんです。後悔は……もう散々なんです。」


正樹のときも後悔をした。もっと、いい女になって、私と付き合ってた時が一番楽しかったって思ってもらえるくらいの女になりたかった。


もっと、もっとこうしてれば……。なんて、何回思ったことだろう。



あの時こうしていれば、未来は変わっていたのかな？


そう思っては、後悔した。でも、後悔しても、タイムマシンはでてこない。どんなに泣いても、過去へは、戻れない。



だから、もう後悔はいやなんだ。したくない。未来を真っ直ぐ見れなくなるから。








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