高校生恋愛*~初めての気持ち~
翼は、弱っている人がいるとほっとけない。


それは、どんなにクラスの中の嫌われ者でも、気持ち悪い人でも変わらない。


当たり前の表情で、ちがう話にもっていって弱ってる人をかばってくれる。


翼は、そんな性格だから《嘘をついている》だなんて、思ってしまうのかもしれない。



「翼は……今、何を思ってるの?」


私はただ、あの日のように、草原にごろんと寝転がって空を見上げるしかなかった。まだ、空は明るく、雪は徐々に解け始めている。草原には、あまり雪が積もっていなかったので、寝転がる事ができたのだ。



でも、もうあの日とは違う。隣に、翼はもういない。



あんなに近くにいたのに、話しかけてくれたのに、なんで私は翼に想いを伝える事ができなかったのだろう。


今ならはっきりといえるのに。


私はずっと後回しにして、結局大事な事、何一ついえないない。


正樹と付き合っていたときだって、



すごくすーっごく好きなのに、


いつも好きだよと先に言ってくれるのは正樹だった。



私はいつも、正直な気持ちを言葉に表せない。



そんな自分が嫌いだった。




< 164 / 201 >

この作品をシェア

pagetop