高校生恋愛*~初めての気持ち~
「えーっと。そのコ。正樹の彼女?」

舞ちゃんはそういって私をじろじろ見た。

「ああ。」
正樹はそういって私の肩に手を置いた。

「そうかー!」

舞ちゃんはそういって、にこっと笑って見せた。でも、舞ちゃんの目。笑ってない。


顔は、ちゃんと笑ってるのに、瞳のおくが冷たくて、暗い。

まさか……。……なわけないよね?

私は、不安そうに正樹の顔をみた。正樹はまだへらへら笑っている。だれもいないベランダ。そこにいるのは、正樹と私と舞ちゃん。


それぞれいろんな気持ちを隠しているように見えた。三人とも表面ではおもしろく話してるように見えるけど、みんな隠れた本性をそっと自分の心の奥に隠してる。私はそいう感じた。


正樹は気づいてないの?鈍いの?私は気づいた。


舞ちゃんの正樹を見る目はそうなのかもしれない。

そうあってほしくない。でも、わざわざ昼食の時間、カップルに割り込んでまで、ノート返しに来る?朝も、遅刻してるのにもかかわらず、楽しそうに正樹と話してる意味ある?


たぶん。たぶんだけど。絶対じゃないけど。たぶん。

舞ちゃんは正樹の事が……好きなんだ。



「正樹」

私は、気分が悪くなって、正樹の名前を呼んだ。

「どうした?」
正樹はやっぱりなにも気づいてない。なんで、こんなに気づいてくれないの?

「ううん…何でもない」


せっかくの昼食時間だよ?あとは下校のときまで正樹と会えないんだよ。いやじゃないの?もっと二人で話したいって思わないの?なんで舞ちゃんがここに入ってくるの?って思わないの?早くベランダからいなくなってって思わないの?



なんで?なんで?正樹は私が一番じゃないの?私は、どんな顔して舞ちゃんと正樹の仲良しな会話を聞けばいいの?





舞ちゃん、正樹には私がいるの。やめて。やだよ


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