高校生恋愛*~初めての気持ち~
五時間目が始まった。みんなご飯を食べたばかりという事もあり、うとうとして、シャーペンをもったまま眠っている。
「何?舞がなにしたって?」
翼は、そういって私の目を見て、問う。
「だぁーからぁー!!」
私はバカだ。なんでこう守れないのだろうか?また橋場翼と話してるし。
でも橋場翼と舞ちゃんはなんか繋がりありそうで…きくしかなかった。
みんな寝ていて静かな授業。先生はみんなが寝ていることに気づかないくらい黒板とにらめっこしながら、ただ、ひたすら教科書に書いてあるキーワードをうつしていた。
私と翼が話してる声も聞こえないくらい、必死に教科書の文を黒板に写している。
「翼と舞ちゃんって仲いいんだよね。んで、舞ちゃんは正樹のこと好きなの?」
私はできるだけ小声で翼に話しかけた。
「ああ。昔からあいつとは仲良かったからな。んで告白したの?」
翼は上を向いて考えるようにして、私のほうに体を向けた。私は翼の隣の席で、翼はペンをくるくると回しながら、ノートには、先生の似顔絵を大きく書いていた。ぶっちゃけ似てない……けど、必死に書いたのが分かる。翼が真面目にノートをとってる姿なんて見たこと……あるのかなぁ。多分1、2回くらいしかないな。
「ん。してない…と思う。」
少しの沈黙…。舞ちゃんってどんな子なのか、聞きたかったけど、やめた。
「ねえ…」
私はその沈黙をうめようと話のネタを考えた。
「何?」
翼は私に聞く。
「橋場翼は何で私に話しかけてくれるの?」
そういってなんか急に恥ずかしくなって赤くなる頬を冷ました。でも・・・でもなんでいきなり私に話しかけてくれるんだろうか?とずっと思っていた。前までは全然話もしなかったのに…
「ん…話してみたかったからかな」
〝話してみたかったかな〟
え……。橋場翼がそんな事思ってたの?
「………ありがと」
なんか、嬉しかった。あんまり男友達が多くなかった私にとっては最高の一言だった。
橋場翼……橋場翼………
「翼」
「ん?」
「翼、ありがと」
案外、いい奴かも…しれない。