高校生恋愛*~初めての気持ち~
「よしっ!!」


翼に元気もらったし、頑張らないと!!私は女子トイレにある鏡にほほえんで見せた。高校の女子トイレは色々な匂いがする。香水の匂い、リップクリームの匂い……色々な匂いがまざって独特の匂いがする。


ん……。正樹からメールだ。

『今日バイトある(T-T)先帰ってて』

「はあ~~~~」


正樹ぃ~~!何が先帰っててだ!!もう不安すぎる!

正樹は誰にでも優しいから不安だよ。安心させる言葉が欲しい。一発で好きって気持ちが伝わるような、愛の言葉が欲しい。


「ふ、ふ…ふぇくしょん~」


ブルブル!!寒い。空からは細かい春雨が降り風も吹いてきた。一人という孤独を感じうつむいた。


「さむ…」


容赦なく降り続く雨が私の心も冷やしていく。みんな傘をささないで桜の木にもたれかかっている私を見て不思議そうに見ていった。


学校の校門近くの桜の木はまだ細くて……でもそんな細い木でも雨に負けず踏ん張り続けていて……。私はそんな木をそっと撫でた。


「なーにやってんだよ。濡れるぞ?」


「………翼」


なんでかな。みんなは私を不思議そうに見て通りすぎて行ったのになんで翼は止まってくれるの?


私なんかに話しかけない方がいいよ?顔もぐちゃぐちゃだし髪だってぬれてぺたんこだよ?

なのになんで貴方はわたしを見つけてくれるの?


馬鹿だよ。本当に馬鹿。


気づいてしまいそうな気持ちをそっと隠して笑った。




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