高校生恋愛*~初めての気持ち~

星空

「ありが…と」

私は、うつむきながら小さく頭を上下にふった。翼は、にかっと笑うと、自慢げに目を細めた。堂々としてる、翼の姿が羨ましかった。


「んじゃ。電車じゃなくて、歩いて帰ろうか。送ってくよ。」


翼は、そういって、上を見た。翼が向いた先には、数え切れないほどの星が私達を取り囲むようにしてピカピカと輝いていた。


「きれー。」

私は、そういうとうっとりするような星空に心を奪われていた。


「ここらへんに、座ってみ。超きれいだから」


そういって翼は、道の脇にある草原にゴロンと横になった。それをみた私は、あまりにも翼が気持ちよさそうにしていたので、同じように翼の隣にごろんとねてみた。



そこには、迫力のある星空が見えた。さっきよりも、どんどん星がこっちに迫ってきそうなほど、近く見えた。



「ここ、俺の絶好のパワースポット」


草と草の間からわずかに見える翼の顔は、暗くてよく見えなかったが、笑っているようにみえた。


チクチクするけど、あたまにささる短い草が逆に気持ちよくて、居心地が良かった。


私達は、綺麗な夜空を草原に寝そべって見ながら、たくさんのことを話した。




「翼は、すごいよね。」


話を切り出したのは、私から。


「は?別に。すごくねーよ。」


翼はそういって、鼻で笑う。たぶん、これが翼の癖。


「なんか、すごい人のように思える。いつも、間違った事なんてしてなくて、翼のいう事は、全部正しいのかなって、思っちゃう。」


私は、翼について色々思ってことがあった。でも、今日はその事をまるで息をするかのように、すらすらと言葉で表せた。



「俺、自分が今正しいって思ってないと駄目なんだ。」


翼は、そういうとまた鼻で笑った。





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