高校生恋愛*~初めての気持ち~
気がつけば、教室には私と翼だけが取り残されていた

もう日もくれている

私は自分の机の上に置いておいたカバンを背負い潰してはいていたローファーをはきなおした。

教室から入ってくる風は秋らしくない冷たい風だった

外ではパラパラと秋雨がふっている


「そろそろ帰らないと」


「うん。分かった」

「あれ?翼は帰らないの?」


「――あー…うん。舞待ってるから。もうすぐ委員会終わるっつってたし」


「―――――そっか。じゃあ…また明日」


「ぉう。」


ポタポタ……。秋雨は冷たい。そして寂しそうに降るので有名だ。


秋雨は誰かが流した涙なのかもしれない。

だって本当に悲しそうに降るから


私の心まで悲しくなってくるよ


「はあ――」


私は下駄箱に置いていた薄いピンク色の傘をさした


長い間傘をささなかったから壊れかけてる。こんな傘さしてる自分がカッコ悪く見えてうつむいた


徐々に激しくなる秋雨をさけるようにして帰る高校生。


私はふと学校の校舎をみた


そこには私がさっきまでいた教室に明かりがついていて黒い影が見える


たぶんあの影は翼と舞ちゃんだよね。私はその影に目が離せなかった


あの教室で

私がさっきまでいた教室で


二人は何を話しどんなことをしてるんだろう


私は傘を肩で抑えて携帯を開いた


『着信0件』


正樹は……………バイト中だもんね。連絡あるわけないか

彼氏がいるのに、寂しいよ。くるしいよ。せつないよ


「うっ……ぁぁ…っうぅ」


ズズッ……。そして私は学校を後にした。もう振り返らないようにうつむいて涙をぬぐった



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