アゲハ蝶の恋【短編】
二人、並んで歩く。
『あの先生、今日もヅラだったね!』
「ちなみに、校長もヅラだ。」
『ぇえ゛!そうなの?!』
そんな他愛の無い話し。
「お前の家、どこだよ。」
『もっと遠く。』
ホントは帰る家なんて無い。
家なんて、蝶には必要無いから。
「俺ん家、ここだけど……。」
そう言って、彼は立ち止まった。
心配してくれてるの?
自惚れかもしれないけど、嬉しくて嬉しくて。
『高島君。』
気が付いた時には、
『私、実は。』
「……?」
『……蝶なの。』
正体をバラしてしまっていた。