アゲハ蝶の恋【短編】
その人の名前は“高島 良(タカシマ リョウ)”だと知った。
隣の席の人であって、私の命の恩人でもある人。
『ねぇ、高島君。学校案内してくれるかな?』
「何で?」
『いいから、いいから♪』
彼を引っ張りながら私は教室を出た。
そして、学校の裏庭にある桜の木の下に着いた。
「おい!お前……」
『私、高島君が好き。』
彼が何かを言う前に話した。
「は?」
『だから、好きなの!』
辺りはシーンとして、空気が重くなった。(気がした。)
暫くして、先に沈黙を破ったのは高島だった。
「俺、そういう面倒くさい事嫌いだから。」
そう言って高島は何処かに行ってしまった。