アゲハ蝶の恋【短編】
「そもそも、恩返しって何だよ!」
『助けてもらったから!』
「……。」
高島はまた一つため息をした。
『ため息ばっかりしてると幸せ逃げちゃうぞー。』
「誰のせいだよ。」
そう言って高島はアゲハをキッと睨んだ。
『………。』
「……何だよ。」
『何で笑わないの?』
「は?」
高島はだんだんどうでもいいような感じに思えてきた。
『だーかーらーっ!!
何で笑わないの?』
「今までの会話に笑えるところがあったか?」
高島はゆっくりベンチに座った。
アゲハも高島の隣にちょこんと座った。
『だって高島君。いっつも笑ってないもん。』
高島はバッとアゲハの方を向いた。
「いっつもってお前……」
キーンコーンカーンコーン
チャイムが高島の言葉を遮った。
『ん?何?』
「いや、何でも……。」
そう言って高島は教室の方へと帰って行った。