アゲハ蝶の恋【短編】
高島君、よくあんな短時間で眠れたね……。
結局私は廊下に立たされ、授業が終わるまで、作戦を考えていた。
――――昼休憩
屋上のドアが勢いよく開いた。
『高島君!』
「またか……。」
高島は目も合わせず、パンを食べながら空を見ていた。
『裏庭行こうよ!桜が咲きそうなんだぁ♪』
「一人で行けよ。」
『それは寂しいでしょ。』
ふと、高島を見ると空から目線を外して、桜を見下ろしていた。
『あの、一番向こうの桜が一番早く咲きそうなんだよ!!』
「……ふーん。」
そう言ってまた空に目線を戻した。
アゲハも高島と同じ様に空を見上げた。
だが、眩しくて、すぐに下を向いた。
『目、焼けちゃうよ?』
「焼けない。」
『そっか。』
彼はただ空を見上げているのではなく、空の向こうを見ている気がした。