アゲハ蝶の恋【短編】
『高島君!』
皆帰るしたくをしていた。
高島もしたくの途中だった。
「何?」
高島はゆっくりと視線を上げた。
『一緒に帰りましょー!』
「おぅ。」
『えぇ゛?!頭でも打ったの?!!』
そう言いながら高島の肩を掴んでガクガクと揺らした。
「だって、断わったとしてもついてくるんだろ?」
高島はゆっくりと立ち上がり、アゲハの頭をポンッと軽く叩いた。
「帰るぞ。」
その言葉が嬉しかった。
握ってくれた手が温かかった。
初めて見た優しい顔。
あの時の様に心地よかった。
この時、気づいてしまった。
自分の気持ち。