マイルド・ガールとワイルド・ボーイ3
しつこい姉を無視して、2階に続く階段を昇る。


「お待たせ紀右」


「あっ、楓……」


部屋に入ると、紀右はベッドに背中を預けて座っていた。


「オレンジで良かったか?」


紀右にジュースを手渡し、オレも隣に座る。


一口飲み物を含むと、心がスーーッと穏やかになっていった気がした。


「ごめんな、紀右………」


右の掌で顔を覆いながら呟く。


いきなり謝られた紀右は、不思議そうな目をしていた。


「なんで楓が謝るの?謝る必要無いじゃん」


「えっ、だっていきなり家上がる事になって迷惑だっただろう?」
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