マイルド・ガールとワイルド・ボーイ3
幹居姉妹のお母さんが、次女の顔を覗き込む。


「さっきからあんまり料理食べてないけど、具合悪いの?大丈夫?」


お母さんの視線を辿ると、紀右が眉間にシワを寄せながら俯いていた。


心なしか、泣きそうな雰囲気が漂っている。


「紀右?部屋戻る?」


「どうした紀右」


姉と父親が問いかけても、首を横に振るだけ。


「何でもないよ、大丈夫」


そう言って笑う紀右は、やっぱりツラそうだった。


「……笑うなよ」


明らかにムリしてる紀右を前に、思わず小さな声が漏れた。


どうして元気が無いのか、理由は分からない。
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