マイルド・ガールとワイルド・ボーイ3
ピクリと紀右の細い肩が、上下に揺れる。


オレはそれを満足気に見つめた後、もう1度紀右の手を拘束した。


「いない……もん」


「紀右」


「ホントに……いな…………」


ウルウルと涙目になりながらも、必死に“好きな人はいない”と言い張る紀右。


だがオレは気づいていた。


掴んでる両手首が、カタカタと小刻みに震えている事に――――…


「紀右……好きだよ」


首を動かし、耳元で甘く囁く。


「っ!か……!!//////」


涙目のまま真っ赤になってオレを見上げる紀右のオデコに、自分のオデコをくっつけた。
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