鮮烈な赤に酔う
【Haduki】
あぁ、どうしよう。
今日は高校の入学式。真新しい制服は可愛い。かわいいけど私にはその可愛いデザインが憎らしい。
入学祝いに買ってもらった腕時計をちらりと見れば、午前9時。ようやくたどり着いた校門は目の前だけれど、今始まった入学式には遅れた。
あぁ、どうしよう。
私はもう一度つぶやいた。
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『新入生代表、藤原葉月さん』
職員室で事情を説明して、身支度を整え、ようやく式の会場である体育館へと入れば、そんな声が聞こえた。
そういえば代表だなんだと、中学の担任が興奮気味に騒いでいたような……なんて入口で惚けていれば、先生に大丈夫かと尋ねられた。
『藤原葉月さん?』
「はい」
とりあえず、入口のところから返事をしてみると、体育館の中の視線が自分に集まったような気がした。いや、自分に集まった。
視線が痛い。
ああもう、なんでこういう事になっちゃうかなぁ。気を取り直してマイクに息を吹き込んだ。
「新入生を代表させて、橘樹学園(たちばながくえん)の先輩方、先生方にご挨拶申し上げます――――」
さぁ、新しい生活の始まりです。