鮮烈な赤に酔う
ひとつめのあと、出会った。
鮮やかすぎる戦況だ。
「今回は嫌に期待はずれでしたね」
「あぁ。噂の『青龍』と聞くからどんなグループかと思えば」
青龍のメンバーが倒れているど真ん中で、『東雲家』の2人は体についた砂を叩き落としていた。
その様子をぼぅっと見ていた私に、東雲先輩が気づいたようでこちらへ近づいてくる。
「ほら、立てよ」
目の前に差し出された大きな手のひら。
返り血なのか、赤い汚れが少しだけある。
「……あぁ、わりぃな」
「……?何がです?」
「血が付いてんの、嫌だろ」
「いえ別に。あと、ありがとうございます」
手を借りて立つと、先輩は片眉を上げる。
「……変わってんなお前」
「本能のままに生きてるだけです」
へぇ、と興味なさそうにつぶやく先輩。
ああこの人、なんて綺麗なんだろう。
「先輩、」
「なんだよ」
「私にあなたを貸してくれませんか?」