鮮烈な赤に酔う
【Kouga】
「……若、今日も朝のお帰りですか」
「俺の勝手だろ。側近の分際で俺に口出すな」
「失礼ながら、若。私も好きで口を出しているのではありません。給金のためです。金がなきゃ若になんて話しかけませんから」
「てめぇホントに俺のこと嫌いだよな」
「滅相もない。大嫌いなんですよ」
目の前の笑顔のコイツ、榊琥珀(さかきこはく)は、憎たらしいが俺の側近だ。
琥珀はどうやらハーフらしく、瞳が黄色い。だから「琥珀」、なんて名前らしい。
「若、どうやら昨日のお嬢さんが訪ねてきているそうですが」
「はぁ?あの新入生代表か?」
「えぇ、聡明そうなお方です」
「……変な奴にしか見えなかったが」
「若の目が淀みきっているのでは?良い眼科でも探しましょうか」
ホントにコイツ俺の部下か?
頭をよぎったが、女が待っているという玄関先に足を向けた。