鮮烈な赤に酔う
【Haduki】
「ねーちゃん、若に用があるんだってなぁ」
「全く度胸あんじゃねぇか!」
私はなぜか東雲家の立派な門の前で東雲の方々にほめられている。
顔は昨日のギャングたちより数倍恐ろしいが、かけられる声が優しい。
「いえ……私はただ東雲先輩に会いたいだけで……」
「それがすげーンだよ!若が『東雲先輩』なんて名前を呼ぶのを許すなんてなぁ!」
「女にはなかなか許さねぇからな……さてはお嬢ちゃん、若の本命か?」
私の目の前では、強面の青年たちがいやに可愛らしい話題で盛り上がってる。
カオスだ……!
「おい、てめぇら朝からうっせぇぞ」
「若!おはようございます!」