鮮烈な赤に酔う
∟半歩近づく
「それにしても、『あの人』が女に名前を呼ばせるなんて奇跡に近いわね」
「そんなに……?……!もしかしてあの人ホm」
「それ以上言ったらぶっ殺すぞ藤原」
私の目の前、つまり珊瑚の後ろには、素敵な笑顔でこちらを見る噂のあの人が立っていた。
「ぶっ殺すだなんて、なんて物騒なこと言うんですか東雲先輩」
「じゃあふざけたこと言うなよ」
「ふざけたこと……?本気ですよ、私は疑惑を持ってます。先輩がホm」
「それ以上言うな」
はぁ、とため息をつく先輩。
苦労人だなぁ。
「お前のせいだよ」
最近お口が言うこと聞いてないなぁ。ちゃんと閉じててよ。