鮮烈な赤に酔う
『調子に乗ってるみたいだけど、
東雲くんはあんたのもんじゃないから近づかないで
昼休みに屋上に一人で来い
誰かに言ったら殺す』
「……」
「……」
「……まさか当人が傍で読むとは思ってなかったよね、彼女らも」
愛のこもったラブレターという名の果た(以下略)。
私を中心として先輩、珊瑚と一緒に覗き込んだ。
「いやいや、でも私言ってないもんね」
「そうね、見ただけだものね」
「それも偶然な」
「そうそう」
静かにラブレターを畳み、自分の制服のポケットに押し込んだ。
自分の教室に向かいながら、珊瑚と東雲先輩と並ぶ。
「珊瑚、どうするべきだと思う?」
「こんなに大胆なことするのは、おそらく上級生よね……下手に動かない方がいい」
「逆に刺激して藤原、刺されたりしねぇかな」
「おいてめぇ笑ってねぇか? おい」
くくく、と喉の奥の方で笑い声が聞こえる。
おい東雲、お前でも容赦しねぇぞ。
「でも確かに変な刺激をしてもね……?」
「ていうか、私屋上でなにされるわけ? 東雲先輩わかります?」
「知るわけねぇだろ」
「使えねぇ……」
「殴っていいか」
「冗談☆」