鮮烈な赤に酔う





「正直、殴ったりするんですかねー?」

「そんなに度胸あるのかしら。今まではどうだったんですか、先輩?」

「……知るか」



けっ、と吐き捨てるように言う東雲先輩。

どうでもいいとはまた、言うものだ。


行っている間に2年と1年のフロアの境目まで来た。

足を止めて、先輩と別れる。



「先輩」

「なんだ」



珊瑚が先輩を呼び止めた。

1年でこんなに話しかけられる珊瑚は、さすがに肝が座っている。

兄に族の総長を持っているだけはある。

にっこり笑った珊瑚は、すこぶる元気に言い放った。



「目の前、女子の壁できてるので気をつけてくださいね」




もう遅い。





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