鮮烈な赤に酔う





「葉月、あんた積分まで予習してるの?」


前の席の珊瑚が焦ったように話しかけてくる。

私は、にやぁっと笑ってやった。



「大学のベクトルまでできるよ」



珊瑚が世界の終わりのような顔をしたので見ものだった。





「藤原さんって超頭いいんだねー!」

「えへへーありがとう」

「口調からしてバカっぽいのにー」

「おいこら今誰が言いやがった」


休み時間、私は可愛い女の子たちに囲まれるという天国にいた。

頭がいいとは便利なことだ。

今まで勉強してきてよかったー!!


「頭いいって言ったらさ、『あの人』また実力テスト500点だったんだって」

「あの人、って?」

「ほら、名前を呼ばれるのが嫌いな2年の先輩!」

「あぁ、東雲先輩かー。……あの人頭いいの?」

「そうだよ? イケメンで頭良くて、強くてお金持ちでしょ。完璧だよねー!」

「あははーソウダヨネー」



性格はクソがつくほど悪いがな。






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