鮮烈な赤に酔う
珊瑚と琴音、麗の笑いが止まる。
「あのぉ、わたし蘇芳真知(すおう まち)っていいますぅ」
「真知でいい?」
「うん、よろしくねぇ」
真知がにっこりと笑ったところで、6時間目開始の予鈴がなった。
皆がさーっと席に戻る。
次は英語だ。
教科書を用意していると、珊瑚が声を潜めて言ってきた。
「葉月、蘇芳真知には気をつけた方がいいよ」
「だからあの場が凍ったの?」
「うん。中等部からの子なら知らない子はいないよ」
「どんな子なのさ」
私がことも無げに言うと、嫌悪感を露わにして珊瑚がいう。