鮮烈な赤に酔う
「今の先輩は、本気じゃないみたいなんで
魅力激減です」
真顔の私に、ぽかんとした顔の先輩。
なかなか見られない風景だと思う。
本気じゃない姿には、興味ない。
私が渇望してたのは、
血の中であれど、王の風格を漂わせる、
あの悠然とした赤の肉食獣。
どろりとした瞳の奥に見えた、あの炎が。
好きで、たまらないと思えた。
一度、あの鮮烈な赤に酔ってしまったのだから
あれじゃなきゃ我慢できない。
「先輩の本気の魅力、そんなもんじゃないでしょう。
魅せてみてくださいよ」
にたり、と。
肉食獣を狩るならば、私も残酷に、獰猛にならねばならない。