鮮烈な赤に酔う






【Kouga】



挑発的な目に、一瞬ぞくりときた。

またあの目だ。

只者ではない、強かな目。



「藤原、てめぇ俺が人殴ってる時の方が魅力的だといいてぇのか」

「今の先輩よりは、ずっと。

達観視しすぎなんですよ。もっと等身大でかかってきてください」

「くく……そりゃいい」



等身大、な。

見透かしたように言ってくるんだから笑えてくる。



「じゃあ、な」



強かな獣。

屈服させてみたい気持ちが込み上げる。


藤原の腕を強く引っ張り、

引き寄せて俺しか見れないようにしてやる。

すぐさま顎を掴んで、

お互い息遣いが感じられるところまで

顔を寄せた。





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