鮮烈な赤に酔う
「……藤原、お前そんな顔もできるんだな」
「先輩がいちいち近いからこうなるんですよ……!」
真っ赤な顔をした、藤原。
離せイケメン!、と訳のわからない罵声を浴びせられ、藤原は俺の家へ入って行った。
しかし、動揺のあまり門の扉に頭をぶつけて唸っていた。
「落ち着けよ藤原ぁ」
「黙ってください。誰のせいですか」
「俺かよ」
「当たり前です。
自分自身の美しさを自覚してください。
至近距離は殺人級です」
未だに熱の引いていない彼女の頬。
なんだこいつ、追うのは好きだが追いかけられるのは慣れてねぇのか。
むしろ追いかけられたくないです、とでも言うような表情をむけられる。
「は……! 東雲先輩のペースに乗せられてここまではいってしまった……!」
本当に今気付いたらしい、変なところで抜けてるな主席。
「菖蒲先輩のアドバイスは無駄にできない、
まだ私はおばあちゃんにはなりたくないです!」
「は? おばあちゃん?」
「え、だって『足腰立たなくなる』……って……」
きょとん、と眼を広げて尋ねてくる。
こいつ、爆弾発言はよくするがオブラートに包まれるとわからねぇらしい。
つまり、相当ウブだった、ってことだ。