黒の溜め息
「キリのばーか」
馬鹿と名指しで呼ばれた、男は女のソレのような長い髪を結い上げた。
銀の髪の毛は、開け放たれた窓からの光により美しく輝く。
キリ・ベザリウスは結った髪を肩に垂らし、自分を馬鹿と言った声の持ち主に振り向き、笑みを浮かべ口を開いた。
「でも、すりよってきたのは貴女の方でしたよ?」
笑みを浮かべた彼の顔をいじけた様に睨む、ベットの中でキリに弄られていた少女、ノアはバタバタと椅子に座り足を振り回した。
短いスカートが動作によりパタパタと動く。
その動作に、鼻の下が伸びた気がした。