渚の平凡物語
イケメンですね、わかります

いざ、保健室へ

 支えのない日々は正直辛い。
 だんだん学校にも家庭にも居場所がなくなってきて、冷静でいられなくなる。
 逃げ場所が欲しい。
 そう思い詰めていた時のことだ。

 頭は人に自慢の出来ないレベルである馬鹿な渚だが、健康体である為さほど病院であったり学校の保健室のお世話になったことはない。
 だが、教育委員会を通じて全生徒に心のケアを言い渡された学校側が、担任や副担任、あるいは保健室の養護教諭に何か人に明かせないことがあったら相談するように、と通達を出した。

 人に言えないこと? 多いにある。
 少なくとも学校内の友人に相談しても無意味で、親兄弟には更に通じないというアレやコレが。

 担任や副担任だと普段から接触があるから、保健室に行ってみることにした。行って駄目ならもう本当に限界だな、と思いつつも。

 トントン。

「失礼します」

 日頃保健室にお世話にならないあたしは、職員室と同じように頭をペコリと下げ、扉を開けた。
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