青空
「だったらさぁ、空が青くなったらいいな」


 私は国広がなんて言うか、知りたかった。


 青空は、もう見ることができないと言われている。


 国広は、黙って考えている。


 いつの間にか、からあげはなくなっていて、空になったプラスチックの容器がベンチに置かれていた。


 沈黙が流れる。


 私は夜空を見上げた。あ、満月だ。


「一人ひとりが、空気をよごさないようにする。……これぐらいしか思いつかなかった」


 そう言って、国広は肉まんをかじると、うつむいた。
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