青空
いきなり、国広がピザまんを持ってる左手をつかんできた。


「ちょっ……」


 つかんだ手を引っ張ると、国広はピザまんに顔を近づけ、食べた。


「あーっ!」


 ない。左手にはもうなにもない。


 国広は、にやっと悪戯した子どものような笑みを見せた。


「ごちそうさま」


 そう言って、私に背を向けて先に行ってしまった。


「ちょっと待ちなさいよ!」


 そのとき、私は、国広の後ろ姿を見た。


 なんだろう、なんだかわからないけど、その背中にドキッとして。
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