『僕』が交した約束



「そっか。来てくれてありがとな」



「当たり前でしょ?

 私は侑斗の彼女なんだもん」



そう言いながら微笑んでいる美憂は

静かにピアノの前に座った



「私も、ちょっとは弾けるんだよ?」



そう言って、『エリーゼのために』を

弾き始めた美憂



・・・・・・違う



その曲じゃない

ココで、そのピアノで弾くのは

その曲じゃないんだ



「・・・上手だな。もう行こうぜ」



早くその曲をやめてほしくて

僕はそのピアノから離れた



「そうだね!大丈夫?

 1人で車いす押すなんて・・・」



「・・・大丈夫だよ。

 大丈夫に決まってるだろ?」



笑ってごまかす



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