『僕』が交した約束
「あ、それも忘れたのか。
刹那は・・・ピアノが上手な子」
「ピアノ?」
「わかんないか?
・・・よしっ!行くか」
そう言って川下は
僕の車いすを押して外に出た
「ここに座ってよくピアノ
弾いてたのよ
パッフェルベルのカノン。
侑斗も好きだったはずだけど」
そう言って川下は
そのカノンという曲を
ゆっくりと弾き始めた
「・・・この曲だ」
確かに聞いたことがある
カノンと言う曲
このピアノの、曲
でも、これは違う
この音。この曲。
だけど、違う
「・・・本当は、思い出したんじゃない?
っていうか、ホントに最初から」