『僕』が交した約束
一時退院すると、
確実に決まっているわけではない
だから・・・
最後になるかもしれないから
俺はその手紙を
自分で刹那の病室に持っていく
歩けるようになったし
川下が俺のところに来なくなったから
刹那の病室に行くと
弱り切った刹那がベットで寝ていた
癌ということは
まだ元気な時に手紙に書いていた
今では
手紙の字も震えて
脱字が多くなった
だけどすべての手紙を
俺は大切に保管している
「刹那、届けに来たよ」
そう言うと刹那はかすかに
顔をこちらに向けた
小さな笑顔で微笑んでいる
「ここに置いておくからな」