Little-Noise―リトルノイズ―
醒燐を切りみんなの元に戻ろうとすると、
あ、ちょっとっ!まだキズがっ
ん。もう大丈夫だからっ!ありがとっ
とか聞こえてきたので、
逆にエミが
俺の方へと走ってきた。
みんなも走ってきた。
そのままぎゅっと抱きついてくる。
「だ、だいじょうぶ…?」
涙目の上目遣い。
やるな。こいつめ。
ドキリとしてしまったではないか
「あぁ、大丈夫だ」
ポンッとエミの頭に手を置き撫でてやる。
「なら、よかったっ♪
それよりしずるやりすぎじゃない?」
エミが醒燐へと視線を向ける。
「そうか?一回しか切ってないぞ?
それにアイツはこの程度じゃしなんよ」
しぶといからな。うん。
若干、遠い目をしてしまう…
「相変わらず変人ね~……。戦闘バカなとこは治ってないのね…」
「…?」
この時錬太郎や未來にも滋瑠が変人だと知られてしまったわけだが……
スッゴいジト目で見られてるよ、
色んな視線を感じるんだけどっ!?
「あっ、」
声をあげたのは未來だった。
「あ、あれ…」
未來が指差した先は、
「何でメイドがこんなとこにいるんだ?」
とおれ。
「どう見ても人じゃないんだけど……」
とエミ。
「ロボットさんだったんだね~」
と未來。
「メイドさんん~っ!壊しちゃってごめんよぉーっ!」
と半泣きの錬太郎。
ってかお前がやったのかよっ!
なら泣くなよ…!
「…いで!」
無言で俺は錬太郎の頭を叩いた。
「何すんだよっ!」
「いや、何となく、つい」
ついってなんだよっ!
「ちょ、メイドさんがあの子運んでくわよ!?」
「本当だ、まぁほたってて大丈夫だろ」
「…うん;」
ちょっと俺の話を聞けーっ!
いや。聞いてください~っ!
何か聞こえたり聞こえなかったりする。
みんなも困った顔で見て見ぬふりを決める。
お前たちよく分かってるじゃないかっ
そんなこんなしながらメイドさんを見ていると、
ゴシャガシャと壊れかけの頭を俺たちに下げてきた。
「今回はご迷惑をおかけしました。ここに来るのは醒燐さんのご要望だったもので。相手をしてくれてありがとうございました、滋瑠様。」
「いいよ。どうせそんなことだろうと思ってたよ。
それで誰の企みだ?」
「…「女樂」です」
やはりか…。
「分かった、それじゃ気を付けて帰れよ」
メイドさんはもう一礼をすると醒燐を担いで行ってしまった。