アルガドート・サーガ
第一章 古の姫巫女
1)始まりを告げる声
荒廃した砂漠の幾つかに、僅かに残ったオアシスが点在する、ここアルガドート神聖国。
その只中に、一際広大な面積と豊富な水と緑を保有する地が、アルガドートの所有する土地の中で唯一美しく守られている「首都」である。
まだうら若き女性の治めるこの国は、女神アルガを信仰する宗教国家である。
この荒れ果てた国が他国に侵略されずに今日まで生き残ってこられたのは、この世界の8割近くもの人間が、女神アルガを信仰する信者だからだといえるだろう。
砂漠の只中にありながら、其処だけ別世界のように鬱そうと木々が茂り、厳しい環境の中巡礼してきた信者達は、アルガの奇跡だと口にする。
そんなのどかで平和なこの国では、時がとてもゆっくりと進んでいく。
アルガドートの街は、その中心にある大神殿をぐるりと囲むようにして出来上がっている。
その大神殿の大回廊を、美しい金髪の女性が静かに歩いている。
儀礼用ともとれる衣は、その女性の気品を損なうことなく、美しさを際立たせた。
「ご機嫌如何ですかな、マドリード様」
大回廊の向こう側から現れた人物に、マドリードと呼ばれた女性は表情を固くして立ち止まる。
マドリードに声を掛けた初老の人物は、彼女の粗でも探すかの様に油断なく彼女を睨みつけている。
「そうですね、今日も素晴らしい一日になりそうです、ラダムス殿」
マドリードは出来る限り笑顔で、淀みなく答えた。
事実、彼女はそう思っていた。今日も明日も、アルガの加護があるのだから、と。
そんなマドリードを忌々しそうに見つめると、ラダムスは軽く会釈をし歩き去った。
その只中に、一際広大な面積と豊富な水と緑を保有する地が、アルガドートの所有する土地の中で唯一美しく守られている「首都」である。
まだうら若き女性の治めるこの国は、女神アルガを信仰する宗教国家である。
この荒れ果てた国が他国に侵略されずに今日まで生き残ってこられたのは、この世界の8割近くもの人間が、女神アルガを信仰する信者だからだといえるだろう。
砂漠の只中にありながら、其処だけ別世界のように鬱そうと木々が茂り、厳しい環境の中巡礼してきた信者達は、アルガの奇跡だと口にする。
そんなのどかで平和なこの国では、時がとてもゆっくりと進んでいく。
アルガドートの街は、その中心にある大神殿をぐるりと囲むようにして出来上がっている。
その大神殿の大回廊を、美しい金髪の女性が静かに歩いている。
儀礼用ともとれる衣は、その女性の気品を損なうことなく、美しさを際立たせた。
「ご機嫌如何ですかな、マドリード様」
大回廊の向こう側から現れた人物に、マドリードと呼ばれた女性は表情を固くして立ち止まる。
マドリードに声を掛けた初老の人物は、彼女の粗でも探すかの様に油断なく彼女を睨みつけている。
「そうですね、今日も素晴らしい一日になりそうです、ラダムス殿」
マドリードは出来る限り笑顔で、淀みなく答えた。
事実、彼女はそう思っていた。今日も明日も、アルガの加護があるのだから、と。
そんなマドリードを忌々しそうに見つめると、ラダムスは軽く会釈をし歩き去った。
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