アルガドート・サーガ
ユラも二人を注視していたので、視線が上手くかみ合ってしまう。

「あら、ごめんなさい。忘れてたわ。こちら、ユラさんといいます」

マドリードはユラの紹介と、簡単な事の顛末を説明した。
ダリスの表情は、驚きから歓喜へと変化し、ユラに歩み寄るとその手を優しくとった。

「よろしくお願いします、ユラさん。僕はダリス・イーヴィナルです。マドリード様とは義理の姉弟です」

「俺はハロルドな、ユラちゃん。最近はマドリードから仕事もらって、部屋の片付けから護衛まで幅広くやってるぜ」

「よろしくね、二人とも」

ユラは笑いをこらえつつ頷いた。
 心の中で、何かがチクリと刺さる。ずっと昔にも、誰かとこうやって笑っていたようなきがする。
ふとそんな不安に駆られた。

「そろそろ、遅いですし、やすみましょうか」

そんなユラを気遣ってか、マドリードが声を掛けた。
ダリスたちも頷くと、早々に部屋を退出してく。
ユラは力なく微笑むと、立ち上がった。

「ありがとう、マドリード。今日は楽しかったわ。明日は、がんばりましょう」

「そうですね。リペアが紅茶を淹れてくれているから、部屋にもっていくように言っておきますね」

ユラはマドリードに見送られながら、薄暗い廊下をリペアの部屋へ帰って行った。
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