私だけの王子様
あたしはびっくりして言葉が出なかった。
「だ、大丈夫ですか?」
あたしの目の前で手を振った。
「あ、あぁ…だ、大丈夫です…」
「それはよかった!散歩してて靴ひもが解けて直してる時にこいつ走って消えちゃって」
笑う彼にあたしはマジマジと見た。
この人怪しくないか?
こんな暗いのにサングラスかけて
マスクに帽子。
そしてこんな外灯が少ない公園で犬の散歩?
「ん?なんか俺見られてる?」
「あ、いや…」
どうしよう…
早くこの人から離れなくちゃ。
「何もありません!これで失礼します…」
ペコっと頭を下げて背中を向けて歩き出す。
「あ!気をつけてね!最近不審者多いみたいだから」
彼はあたしにそう言った。
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