私だけの王子様
「あ…ごめん。そりゃわかってるよな…」
お兄ちゃんは引きつった笑顔を見せ台所に向かった。
わかってるよ。
心配してくれてるのは…
「大きな声出してごめんね。じゃああたし面接あるから行くね」
あたしは台所の前で立ち止まり言った。
お兄ちゃんは背中を向けたまま。
あたしが玄関のドアに手をかけた時
「あ、笑!帰りは公園通るなよ」
お兄ちゃんがリビングからバタバタと出て来た。
「なんで?近道なのに」
「最近不審者が現れたんだ。だから公園は通るな」
「んーわかった。行ってきます」
「行ってらっしゃい。頑張れよ」
優しくあたしの頭を撫でて笑った。
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