オリゾン・グリーズ



クリストハルトは背が高く、ガタイもよくて筋力のある大人である。



このあどけなさが残る少年まがいの青年と、隣で伸びている優男にどうやっても攫われる光景が想像できない。



だが、ローラントの顔には「まじでやったるぞ」と書いてあった。



「お前の意思は全力で尊重してやろう。

騎士団の招集時間までにこいつと会った図書館に来い、来なけりゃこっちから出向いてやる」



「申し訳ないが断る。

俺とてふざけ半分で騎士団への参加を覚悟したのではないし、それにここで逃げては父に汚名を着せかねない」



「父親想いなんだな」



「人並みに家族は大切にする」



「そうか」



ローラントは、終始無表情でいて、その不遜な態度以外に感情を読み取らせる何かというものを見せない男であった。



笑いもしなければ怒る様子もなく、淡泊な印象しか与えてくれない。



「ならばお前は此方につくべきだ、弟のために」



「…な、なんだと!」



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