オリゾン・グリーズ



街の建物は、汚らしい赤レンガの平屋がほとんどである。



赤の帝国と呼ばれるのは、ラムル帝国領だけで火山がおよそ23も存在するからというのが理由の一つ。



火山の噴火や地震などが多く、故にラムルの人々はあまり二階建てを好まない。



だから図書館など三階建ての建物は、街からよく目立っていた。



赤レンガは同じだけれど、きちんと手入れされた外装とそれを這う蔦が洒落ているようで、この街の雰囲気とは一風変わっている。



細長い建物の周りは花壇がぐるりと囲っていて秋桜の花が可愛らしく揺れていた。



そばには大きな樅の木が腕を広げている。




丈夫そうな蔦といい、太い枝の大木といい、子供なら喜んで上りそうなものだと思った。




玄関は板張りで、人家のようにのぞき穴が取り付けられている。



青銅で獣の装飾がされており、その双頭とむき出した牙の表現から、ラムルの国旗に掲げた狼であることが予想がついた。



ここはどうやら国営らしい。



意外すぎて、クリストハルトは目を見張りながら再度ぐるりと建物を眺めた。




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