幽霊さんの日常手記
call
「…何」
「何じゃ無ぇッ千尋今何処に居んだよ、」
「旧校舎」
「な…ッ」
「じゃあな。」
プツッ
さっさと電源を切り、屋上へ出る。
先程までは晴れていたのに、雨が降っている。
一つ異常なのは、空に満月が出てきている事か。
天気雨は昼間には見たことがあるが、夜は初めてだ。
「最後には、丁度良いか」
後一歩で落ちる所まで行き、至るところに灯りが見える街を眺める。
比較的何もないこの街は、水面下で穢れていたのだろう。
そんな所に、未練なんか無いな。
そうして、俺は身を投げようとした。
―――――――――『駄目だよ』
ふっ、と、求めていた声が聞こえた気がした。