襲撃プロポーズ
一度だけでいいから、その声を聞いてみたかった。
触れてみたかった。
そんな相手の手を振り払えるわけがない。
いつの間にか晴宗の手は久保姫の両頬に添えられて。
「…甲斐性なしだと罵られても、馬鹿だと笑われても構わぬ。甘んじて受け入れよう」
晴宗の甘く低い声が響く。
久保姫の脳を侵食していくように。
「姫が…お前が俺に輿入れしてくれるというなら、俺はお前以外に室はとらない」
そして、その瞳が彼女を捕らえた。
「他の女などいらぬ。この命に誓おう。伊達晴宗の命ある限り、久保姫ただ一人を愛し抜くと」