君のいる世界




かつてここまで気持ちが揺れたことがあったかな。


思えば私は何に対しても真っ先に“くだらない”だとか“どうでもいい”って一線を置いていた気がする。


学園に来ても周りの会話に興味ない素振りをしたり。




でも実際は違う。


本当は羨ましかった。


くだらない話をして涙が出るぐらい笑い合える友達が本当は欲しかったんだ。




だけど、いつの間にか友達を作ることを諦めてた。


気付いたら捻くれたつまらない人間になってた。


…逃げて来たんだ。




一番くだらなかったのは、私。




二年生に進級して山下さんや会長と知り合って、私の干からびた心が水を得た魚のように揺れ動いた。


初めての友達。


初めての恋。


こんなにも私の世界が煌めく日が来るなんて思わなかった。




確かに心の変化が激しくて着いてくのに必死だけど。


今までの強がってた自分より、色んな感情に振り回されてあたふたしてる自分の方が好き。





会長…


さっき私に言ったよね?


“いい友達、持ったな”って。




でもそれは違う。


山下さんは友達なんかじゃない。


大切な初めての親友なんだよ。




心を許せるたった一人の親友なんだ…





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