君のいる世界




でも、きっとここにいる人達ならそんなことも簡単にやってのけるんだと思う。


この世界は汚い。


欲望の渦に巻き込まれた人々は我を失い、利益や地位の為に手段を選ばない。


ずる賢く生きなきゃすぐに蹴落とされる。




私には出来ない。


そこまでするほど、ここに何も魅力を感じない。




私は一切口を聞かず、ひたすら校門に向けて歩いた。


私の大人気ない態度に顔を顰める人もいたけど、大抵の人が逃げずに声を掛けてくる。




この人達はそこまでして一体何を守りたいんだろう?


会社?親?それとも、自分?


私が嫌なら話し掛けなければいいのに。


それとも親に谷本財閥に取り入れって言われているのだろうか。


そうだとしたらその人もこの世界の犠牲者で、私と同じ籠の中の無力な鳥なのかもしれない。




こんな風に考える私は、やっぱりこの世界には不釣り合いなんだ。






ーーーーーーコンコン。


「お嬢様。宜しいですか?」



康君の声が聞こえ、咄嗟にベッドの端に座り直した。


乱れた髪を手櫛で整え、少しめくれたスカートの裾を引っ張り直す。




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