君のいる世界
Period*3
俺を信じろ
慣れない手付きで切符を買い、自動改札機に切符を通す。
出てきた切符が素早く取れなくて、後ろに並んでいた中年のサラリーマンが眉を顰めているのがわかった。
上り方面のホームは人で溢れ、歩くのでさえ困難な状況に私は目を疑った。
乗り込んだ電車は勿論満員で鞄をしっかり抱え込まないと人の波に飲まれてしまいそう。
なんとかドアの横隅に行ければ楽なんだろうけど、自分では動くことが出来ない。
人の波と電車の揺れにただ身を任せるしかなかった。
「あれ?麗奈?」
なんとか学園の最寄り駅で電車を降り、ホームのベンチに座って息をついていると名前を呼ばれた。
声のした方を見ると佳菜子が驚いた表情で人の流れを横切り、こっちに向かって来るところだった。